青汁の話(1)



最近は青汁もあちこちで宣伝されて、濃い緑色をした、決して美味しくはないけど健康によい野菜ジュースのイメージはすっかり定着しました。そして、次から次へと新しい「青汁」の名前を付けた商品が発売されています。中には、飲み味をよくしたものやいつでも飲めるように工夫したものなど、便利さや手軽さをうたったものが増えているようですが、本当に健康に良いものとなるとどうでしょうか。青汁の本当のよさを知るためには、青汁誕生の経緯や効用などについて、青汁の提唱・普及に尽力された故遠藤仁郎氏本人の言葉に耳を傾ける必要がありそうです。遠藤仁郎氏の著作をまとめた今年1月に出版された「もっと緑を!」の内容を紹介しながら、青汁と健康について考えていきたいと思います。


 青汁という発想はここから。

 遠藤仁郎氏が内科医となったのは大正14年。その当時は、カロリー・タンパク質至上主義で、良質の動物性タンパクが最高の栄養で、肉や魚といったごちそうをしっかり食べなければだめと言われていたそうです。しかし一方で、このような美食飽食は多病短命のもとで、反対に粗食小食こそが健康長寿のもとだと昔から言い習わされてもいました。遠藤氏自身は若い頃から肉・魚を中心とした食事でしたが、慢性便秘や脚気などの体調不良に悩まされたこともあり、患者の治療も自信を持ってできず、新薬や民間療法などを片っ端から試してみてもこれというものはひとつもなかったそうです。そうこうしているうちに、戦局が激しさを増し食糧不足が深刻になり、空腹を満たすものはないかと考えていると、ふと野菜の葉を食べることを思いつき、大根畑に行って捨てられている葉を片っ端から集めました。食べ方も工夫をして、葉を陰干しにして乾燥し、石臼で粉にして食用油を染みこませた「緑葉末油煉」を考案したことも…。そんなとき、アメリカの著名な栄養学者マッカラムが書いた「栄養新説」をたまたま読んで、長年の疑問がついに解き明かされた、ようやく求めていた理論に行き当たったと興奮したと述懐しています。

『「野菜で優秀なものは緑葉だけで、それに比べれば他の野菜も果物もずっと劣る。同じ葉でも、色の淡いものはだめ。野菜がよいという実験結果は全て「緑葉」でのデータである。緑葉には動物性に匹敵するすぐれたタンパク質も含まれており、それ自体が栄養的に完全な食品であるだけでなく、豊富なビタミンとミネラルによって栄養素の体内利用を促進するため、カロリーやタンパク質の必要量が少なくてすむ」
 つまり、緑の葉を充分に食べていれば、総カロリーやタンパク質は少しでよいというのである。反対に肉や魚中心の食事だとうんと食べねば身体が持たない。それにより健康を損ねることも多く、長持ちしにくいわけだ。』
(遠藤仁郎著・遠藤治郎監修「もっと緑を!」より)


 色の濃い、質のよい生の緑葉を汁にして飲めば充分な量を楽に摂ることができる。こうして青汁という発想が生まれたのです。


※マッカラム:アメリカの著名な栄養学者。ビタミンの発見に大きな功績があった。
コメント